10年の間にオフィスは最新の事務機器に変わっていました。

再就職を目指して1年間、ハローワークに通ったり転職をサイトをチェックしたり毎日努力を続けていた友人がやっと就職が決まったと喜んで電話をしてきました。
小さな建築事務所だけれども時間的にも下の子供が小学校から帰ってくるまでに間に合うし、契約社員だけれども何年かしたら正社員になる道もあるというので本人は大変張り切っていました。
友人は大学からの付き合いですが卒業後は大手の電機メーカーでOLを10年近く続けていた事務のプロでした。
再就職は順調にスタートするだろうと私も友人本人も信じて疑いませんでした。
しかしそれからしばらくして友人からまた電話があったのです。
その時の声は大変落ち込んでおり元気がありませんでした。
どうしたのかと尋ねると仕事についていけないと言うのです。
オフィスの仕事ははじめの約束通り電話応対や書類のチェックでした。
コピーやファックスなど以前の仕事と同じだろうと思っていたらしいのですが、それらの最新の事務機器の使い方がわからなかったのです。
まず彼女はコピー取りを頼まれたので一生懸命一枚一枚丁寧にとっていました。
かなりの量だったので1時間近くかかりきちんとホチキス止めをして上司のところに持っていったのですがそこで時間のかかりすぎを指摘されました。
今時のコピー機は自動ですべて完成させることができます。
はじめにホチキス止めの位置まで設定すればそれでものの10分で終わってしまうのです。
友人はそれを知りませんでした。
事務機器の進化は友人の想像をはるかに超えておりそこで思わぬ苦労が待ち受けていたということなのです。